梅の木を切る時期っていつ?準備する道具や切り方・コツもご紹介
植えてから4年目までの梅は、樹齢によって枝を切るべき時期が変わります。4年目を過ぎて成熟してからは、梅を切るタイミングが年に3回となり、それぞれの時期におこなう枝切り作業の目的も違います。
時期を間違えて切ってしまうと、梅の見どころである花や実がならなくなることもあるので、確認しておきましょう。
ここでは、梅の木を切る時期と切る手順、そして注意事項を紹介していきます。梅は上手に育てれば自慢できる庭木になるので、これを読んで世話をがんばってみてください。
目次
梅の木を切る時期っていつ?
梅を育てるうえでは、管理の一環として毎年木を切る作業をしていく必要があります。梅の木を切る時期は、梅の樹齢や木を切る目的別で違うので注意しましょう。いつの時期にどんな目的で切る必要があるのかをここで確認してください。
1.樹木の年齢で変わる
1年目から3年目まで梅の木は、4年目以降の梅の木とは違う時期に枝を切ることになります。4年目までの剪定で木の大まかな形が完成するので、この時期の剪定はとくにしっかりとおこないましょう。
■1年目
植えてから1年がたった後の剪定は9月から11月の間でおこないます。1年目は枝が数本長く伸び始めていると思うので、先端から枝の根元までを3分の2程度の長さが残るように切ります。また、下に向かっている枝も切っておきましょう。
■2年目と3年目
2年目と3年目は冬のうちに枝を切ります。12月がよいでしょう。1年目から残っている枝(主枝)からも枝が出始めていると思うので、主枝に生えた枝を切り落としてください。
主枝も3分の2の長さまで切り詰めます。そのほかに新しく幹から出てきている枝は、半分程度に切り詰めておくとよいです。
■4年目以降
4年目以降はある程度梅の樹形も整って花や実がなるようになり、成木になります。これ以降は目的別に年に3回の枝切りをしていってください。年3回の枝切りの時期については、この後から説明していきます。
2.枝を切る目的で変わる
植えてから4年目以降の梅の枝を切る時期は、年に3回あります。枝切りは、時期によって目的が違うので、正しい時期におこなってください。
■春:芽吹かせるのが目的
春の3月から4月ごろは、梅の花が2月から3月にかけて咲いた後の「花後(かご)」という時期です。この時期には、花が終わった後に切ることで新しい芽を付けさせる「立て直し」をおこないます。この作業によって新しくできる芽は、やがて枝へと成長していきます。
■夏:実を増やすのが目的
梅は6月ごろに実を付け、7月にはほとんどが落ちていることでしょう。実の時期が終わった後にいらない枝を切ることで、次の年になる花や実を増やすことができます。いらない枝を適度に切れば、栄養がより必要な部分にいきわたることになり、結果的には花や実が増えることになるのです。
■冬:樹形を整えるのが目的
木の形を整えるためにおこなう作業です。冬には葉が全部落ちて、木の枝の形が見えやすくなります。また休眠期になるので、木への負担も少なく済みます。
枝を短くしたり、少なくしたりしましょう。1年目から3年目までにおこなっていた枝切り作業をそのまま続けるようにするのが、この時期の枝切りになります。
梅の木は定期的な手入れが必要!
梅の木は定期的に枝を切らないと、花や実がつかなくなることがあります。梅は正しい時期に切ることでたくさんの枝分かれが起こり、このときできた枝に花の芽がつくからです。梅は、手入れをしてはじめて美しい木になります。
また、こまめな手入れができていないと、害虫の温床になってしまうこともあります。年に3回のペースでこまめに枝を切るのは、枝が密集して木全体の湿度があがり、虫が住みやすい環境ができてしまうのを防ぐ意味があるのです。とくにガの幼虫のケムシやカイガラムシが、枝に寄生してしまうことが多いです。
一度虫がついてしまうと、殺虫剤の散布など、手入れ以上の対策をしなければならないもの。害虫の数が増えてどうしようもないときは、思い切って業者に伐採してもらうという選択肢もあります。
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梅の木を切る手順と注意すること
ここからは具体的な枝の切り方をみていきましょう。夏と冬におこなう枝切りの方法は違うので確認しておいてください。また必要な道具と作業時に注意するべきことについても説明しているので、木を切るときの参考にしてださい。
準備する道具
必要な道具は園芸用バサミとノコギリ、そして脚立です。園芸用バサミは末端の枝を切るため、ノコギリは枝の根元などの太いところを切るために用意します。このみっつの道具があれば、枝切りの作業は十分にできることでしょう。
また、ケガの予防のためには身を守る服装をしたほうがよいです。適した服装については、この記事内にある「尖った枝はケガしやすいので注意!」という箇所で詳しくご紹介しているので、あわせてチェックしておいてください。
時期によって違う手順
夏の枝切りも、冬の枝切りも、どちらも同じように「間引き」や「切り詰め」と呼ばれる方法で枝を切っていきます。これは不要な枝を切ったり、枝の先を切り落として短くしたりすることです。しかし、少し違いがありますので説明します。
1.夏の枝切り
夏の作業では、「花や実を増やす」という目的を意識しておこなっていきます。夏に枝を切るときは、まず木の幹のほうに向かって伸びている枝や、交差している枝などを切っていきましょう。また、同じ枝から複数の太い枝が伸びているときは、これらも切っていきます。
そして次に、「主枝」としている枝の先も、3分の2程度の長さになるように切りましょう。主枝とは、幹から生えている枝のことで、木のなかでメインとなる枝です。主枝にあたる枝は1本の梅に何本かあるはずなので、どれも先から3分の2程度の長さで切り詰めていきます。
また、主枝からは小さな枝が出ていると思うので、この枝は芽を5つほど残して切り詰めましょう。芽は枝の途中で丸く膨らんでいる部分なので、手で触ったりして確認しながら切る場所を選ぶとよいです。
2.冬の枝切り
冬の枝切りは、木の形を整える作業です。夏のときにも切ったような、木の幹のほうに向かって伸びている枝や、枝がたくさん集まっているところ、交差している枝などを切って形を整えてください。
基本的には、梅の枝は切るとそこからまた生えてきます。ひとつの切り口を作ると、その近くの芽から枝が出てくるので、切るときにはそのことを意識すると、形を整えるのに役立つでしょう。この時期は枝から葉が落ちて枝の全体像や芽の場所がわかりやすいので、形を整えるチャンスです。
3.肥料まき
冬の枝切りの後は肥料をまいておくとよいです。梅のように葉を落とす木にとって、冬は根からくる栄養や蓄えを使って冬眠する時期になります。この時期に枝を切って負荷をかけたときは肥料で補ってあげましょう。
梅には緩効性肥料という、効果に持続性のある肥料を使います。梅は根っこの先端のほうから栄養を吸うので、肥料を与えるときは幹より少し離れた場所にまきます。距離の目安は、幹から生えている枝(主枝)の先端がある場所くらいがよいです。
肥料ごとに指定された量を、木を中心に円を描くような形でまくのが理想的といえます。目安にした主枝の先端の距離を保って、円を描くような具合です。
尖った枝はケガしやすいので注意!
これは梅だけでなく、枝を切る作業全般にいえることですが、ケガには気を付けましょう。枝は尖っていたり、ささくれがあったりするので、軍手を付けることを忘れないようにしてください。また、ノコギリを使うと木くずが出るので、マスクやゴーグルもあったほうがよいです。
服装は長袖がよいでしょう。夏の暑い時期などに作業するのであれば、帽子をかぶって直射日光を避けるなどの工夫も必要です。
梅の木を切るときのポイント
梅を切るときには注意しておきたいポイントが5つあります。ここまでの説明では、梅を切る時期や、箇所についてなどを中心に説明しましたが、ここからは具体的な切り方の説明に入っていきます。
1.5~6個芽を残して切る
梅は枝につき5個から6個の芽を残して切るのがよいとされています。枝分かれしている根元から数えて5、6個を目安にするとよいでしょう。
切った枝の先端にはなるべく「葉芽」が残るようにしてください。芽には2種類があり、枝が伸びてくる「葉芽」と、花のつぼみの「花芽」に分けられます。そのうち、葉芽を残すことによって、切ったところからまた新しい枝が伸びていくのです。
葉芽は黒っぽくて小さな形です。花芽は大きな丸い形で、ほのかにピンク色をしています。ふたつを見分けることはそれほど難しいことではないでしょう。
2.樹高があるなら”3本”残す
1メートルから2メートルほどある梅であれば、幹から出ている枝は2本から3本程度がちょうどよいです。幹から出ている「主枝」と呼ばれるような太い枝が多すぎると、栄養を取り合ってしまいます。幹から新しい枝が出ているときは、3本以内になるように切りましょう。
3.外芽の先で切る
外芽とは、木の芽で地面向きに生えている葉芽(枝になる芽)のことです。梅の木を切るときは、この外芽を先端に残す形で切ってください。こうすることで、外目は今まで伸びてきた方向と同じ向きに、きれいに伸びていくのです。
ちなみに、外芽に対して上向きについている葉芽は内芽といいます。この内芽を先端に残して切ると、上向きに極端に反った形で伸びていってしまい、樹形が乱れる原因になります。切りたい長さの場所に内芽があるときは、それより枝の根元側にある外芽の上で切って、内芽が先端に来るのを避けてください。
4.不要な枝は付け根から切る
不要な枝を切るときは、根元から切らないと残った部分が枯れてしまうことがあります。枯れた部分が木にできると病気の原因になることも考えられるので、不要な枝は根元から切りましょう。
ただし太い枝のときには、切っている途中に枝が自重で落下して、樹皮などがめくれてしまうことがあります。こうならないためにも、切り方を工夫しましょう。
太い枝は3回に分けて切ります。まず、枝の根元から20センチほど離れたところで、枝の下側(地面側)から、直径の半分程度まで切れ込みを入れます。その次に、5センチほど枝先のほうへ移り、上側から下に切りすすめてください。
半分くらいまで切りすすめれば、自然に枝が落ちます。その後は、枝の根元に移って残った20センチくらいの部分を切り落とせば、太い枝もきれいに切除できます。
5.剪定後は癒合剤を塗る
枝を切る作業の後には切り口が残るので、「癒合剤(ゆごうざい)」を塗ってケアをすることを忘れないでください。枝先の切り詰めをした後のほんの小さな切り口などはとくに問題ありませんが、枝を根元から切ったときなどにできる大きな切り口からは、病気が感染したり乾燥して枯れたりするおそれがあります。
そういった切り口のトラブルを予防するのが、「癒合剤」です。癒合剤は、木工用ボンドのような材質の塗料で、ハケなどで塗って乾燥させると、それが固まって木の傷口をふさぎます。抗菌の成分が配合されているので、切り口に塗っておくと木を切った後、安心です。
このように、梅の木を切るときにはたくさんの注意点があります。趣味として、また観賞用や食用として育てるにはとても奥深い世話の楽しみがあり、育てる満足感の味わえる木といえるでしょう。
しかし、特別に思い入れがない場合や、世話が難しくなったときなどは、手入れが負担になる場合もあるかもしれません。梅の木をどうするかに迷ったら、伐採するという方法もあります。伐採をすれば、世話を続ける必要はなく、跡地を有効活用することも可能です。
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