月齢伐採で丈夫な木材が作れる!伐採後の乾燥方法についてもご紹介
家具などの材料にする目的で立木を切り倒す場合、「伐採する木は少しでも丈夫で腐りにくい品質のものであってほしい」と思う方も多いでしょう。じつは、伐採後の木材の品質は、伐採の時期によって違いが出るというのはご存知でしょうか?
そこで今回は、少しでも丈夫な木材を得るための“月齢伐採”という方法をご紹介します。木材利用を目的に伐採を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
丈夫な木材のために知っておくべき「月齢伐採」
あまり木を伐採したことがないという方にとって、「月齢伐採」というのは聞き慣れない言葉かもしれません。しかしじつはこの月齢伐採、昔からおこなわれてきた歴史ある伐採方法なのです。
ここではまず、月齢伐採とはどういった伐採方法のことであるのか、基本的な知識をご紹介しましょう。
月齢伐採とは?
動物のように元気いっぱい動き回ることはありませんが、植物もれっきとした“生き物”です。生き物であれば、当然バイオリズム(生体リズム)というものがあります。1年中同じように見える木でも、じつは季節によって、内部の栄養状態には波があるのです。
そして、1年の中で木が木材としてもっともよい状態になる時期を狙って伐採をおこなうことを、“月齢伐採”といいます。木材として最適な状態であるタイミングで木を伐採することができれば、より品質の高い家具や家屋を作ることができるでしょう。
具体的には、以下の2つに当てはまる時期が月齢伐採のタイミングとなります。
<月齢伐採のタイミング>
- 毎年9月から翌年2月の間
- 新月期(月の満ち欠けにおいて、満月後から新月になるまでの期間)
じつは世界中で知られている伐採方法!
季節や月の満ち欠けから伐採時期を判断する月齢伐採は、日本だけでおこなわれている伐採方法ではありません。高級バイオリンとして有名なあの“ストラディバリウス”も、月齢伐採によって切り出された木材から作られているといわれているのです。
また、海外で発売されベストセラーになった木材に関する本の中でも、良質な木材を得るためには月の満ち欠けに応じることが重要であると説かれています。このようなことから、月齢伐採は日本だけでなく、世界中で知られている伐採方法であるといえるでしょう。
月齢伐採がもたらす木材への影響
月齢伐採によって切り出された木材には、多くのよい影響が現れます。具体的なメリットは、以下のとおりです。
<月齢伐採がもたらすメリット>
- 丈夫で壊れにくい木材になる
- 木材が腐りにくくなる
- 木材にカビが生えにくくなる
- 色艶、香りのよい木材になる
伐採時期を考慮するだけで、どうして木材にこのような影響があるのかというと、それには木の栄養周期が関係しています。
というのも、新月後~満月までの期間(満月期)は、木の中のデンプン質が増加しやすくなる傾向があります。そのタイミングで伐採をおこなうと、デンプンをエサにカビ菌や害虫などが発生しやすくなってしまうのです。
とくに多くの木々が最盛期を迎える夏の満月期は、栄養満点の状態であり、丈夫で腐食しにくい木材を切り出すのには向いていません。
一方で冬の満月後~新月までの期間(新月期)は、デンプン質が少ない時期となります。したがってこの時期に伐採をおこなった木材は、カビや腐食が起こりにくい、丈夫なものになるのです。
このように、月齢伐採は決して迷信などではなく、植物の活動周期に基づく非常に合理的な伐採方法であるといえるでしょう。
より丈夫な木材にするためには伐採後の乾燥方法も大切
月齢伐採は、伐採後にしっかりと“乾燥”をおこなうことによって、木材の品質をさらに高めることができます。ここでは、月齢伐採後におこなう乾燥の方法について、詳しくご紹介しましょう。
葉枯らし乾燥
“葉枯らし乾燥”とは、自然乾燥のことです。伐採後、1ヶ月~3ヶ月程度の葉がらし期間を設けると、木材はより丈夫に、より香り豊かになります。
乾燥の際は枝や葉を残した状態で、そのまま丸太を横たわらせておくだけでOKです。葉枯らし乾燥をおこなうと、木の内部にある水分が減って全体的に軽くなるため、乾燥後の運び出しも楽になるでしょう。
天然乾燥
“天然乾燥”とは、室外と室内の両方を使い乾燥させる方法のことです。具体的には、まず伐採した丸太を6ヶ月間室外に置いて一気に水分を飛ばします。その後室内に移動し、再び6ヶ月かけてじっくりと乾燥させるのです。
こうすることで、木の水分をしっかりと乾燥させつつも、木の内部に適量の油分を残すことができます。またじっくりと乾燥させるため、木の内部にヒビ割れができることもありません。
室外と室内をあわせると、丸太の乾燥期間には1年近くかかってしまいますが、「より丈夫な木材を作りたい」という方にはおすすめの乾燥方法です。
大きな樹木の伐採には危険がつきもの
過去に伐採の経験がある方や体力に自信のある方であれば、月齢伐採は自力でおこなうこともできます。以下に簡単な手順をご紹介しましょう。
自分で伐採する方法
自力で伐採をおこなう場合は、チェーンソーやのこぎり、身を守るための防護服やゴーグルなどを用意する必要があります。軽装備で挑むとケガにつながる恐れもあるので、しっかりと準備してからおこなうようにしましょう。
道具の準備が整ったら、伐採をおこなっていきます。はじめに、倒す側に"受け口"という、上側に斜め45度口が開いている、文字通り口のような切れ目を入れましょう。受け口ができたら、その反対側に“追い口”と呼ばれる切れ目を入れていきます。追い口は地面と水平に切りましょう。
受け口が木の周囲の4分の1、追い口が3分の2まで切れたら、木を両手でゆっくりと押し倒します。あとは幹の重さで、自然と木が倒れていくはずです。
なお伐採をおこなう際は、とにかく“木の倒れる方向”に気をつけてください。人間が下敷きにならないようにするのはもちろんのこと、倒れる先に家屋などがないかどうかもチェックしましょう。
「伐採は危険な作業である」ということを忘れてはいけない
伐採は自力でおこなうことができる一方で、とても危険な作業でもあります。ときには重大な事故につながることもあるでしょう。大きな木を伐採する場合は、できるだけ業者に依頼することをおすすめします。
伐採業者であれば、より安全に、よりスピーディに伐採をおこなってくれるでしょう。また、月齢伐採や乾燥方法に関する知識も豊富ですので、親身になって相談に乗ってくれるはずです。
伐採業者をお探しの場合は、ぜひ弊社をご利用ください。弊社が全国各地に抱える加盟店の中から、実績豊富な業者をご紹介いたします。お見積りや現地調査は原則として無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
まとめ
さて今回は、より丈夫な木材を得るための伐採方法として、“月齢伐採”をご紹介しました。せっかく伐採をおこなうのであれば、「少しでも質の高い木材にしたい」と思う方も多いでしょう。そのためにも、ぜひ今回ご紹介した月齢伐採を参考に適切な伐採時期を検討してみてください。
もし月齢伐採の時期がわからない場合や、伐採作業に自信がない場合は、伐採業者へ依頼してみてもよいでしょう。プロの伐採業者なら、スピーディに作業が終わるほか、仕上がりもとてもきれいです。きっと満足のいく伐採ができるでしょう。
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