椿の木を切るなら伐採?剪定?│それぞれの時期や方法を解説します
椿は寒い季節になると赤や白色の花を咲かせる、冬の風物詩のひとつです。椿の木は、大きくなると樹高5~10mにも成長する高木です。そのため、大きく成長しすぎないようにするためにも、適切な伐採や剪定をおこなう必要があります。
そこで、本コラムでは椿の木の伐採・剪定方法、木を切った後の処分方法などをご紹介しています。また「自分では伐採・剪定ができない…」とお悩みの方にむけて、業者を利用する際の費用や注意点などもご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
椿の木の伐採方法
ここでは、椿の木を切る方法についてご紹介していきます。伐採をおこなうのに適した時期があることや伐採前のお清め・お祓い、注意すべき寄生虫など、知っておくとよい情報を取り上げましたので、参考にしてみてください。
椿の木はいつ切ってもいいの?
椿の木を切る前に、まずは庭木を伐採するのに適した時期を知っておくことが重要です。一般的に、庭木の伐採は「伐り旬(きりしゅん)」と呼ばれる、秋から翌年の春先にかけての時期が望ましいといわれています。伐り旬の時期に伐採をおこなうことで、伐採した木を再利用する際には、美しい木の色を見ることができ、病気や害虫などに対する抵抗力も高まるといわれています。
伐採前のお清め・お祓い
昔から日本では木を切る・抜くときには、お清めやお祓いをする習慣があります。古くから木には神や精霊が宿ると考えられており、庭木の場合は、その木に家庭の守り神としての役割を果たしてくれるといわれています。そのため、木を伐採する前には、感謝や謝罪の意を込めて、お清めや供養をするのがよいとされているのです。
しかし必ずしも、お清めやお祓いをおこなわなければならないというわけではありません。実際にお清めやお祓いをおこなう場合は、神社や業者に依頼するとよいでしょう。
自分でおこなう場合は、略式でもかまいません。お清めの際は、お酒と塩を用意して、庭木の四隅にそれぞれ少量ずつ撒いて手を合わせましょう。これだけでもよいので、お清めや供養を考えている方は参考にしてみてください。
伐採方法
伐採に適した時期やお清め・供養について知ることができたら、実際に椿の木を伐採していきましょう。ここでは、具体的な伐採手順について解説していきます。
1.椿の木を倒す方向を決める
伐採を始める前に、椿の木を倒す方向を決めておく必要があります。なぜなら、とくに計画を立てずに木を切ってしまうと、予想しない方向に倒れてしまい、非常に危険だからです。木を倒す方向は、近隣住民に迷惑にならないように、できるだけ何もない場所を目標にするとよいです。
2.受け口を作る
木を倒す方向を定めたら、実際に椿の木を伐採していきます。まずチェーンソーを用意して、木を倒す方向に「受け口」と呼ばれる切り込みを作っていきましょう。受け口は、ひざ下くらいの位置から、直線の切り込みを幹の真ん中くらいまで入れていきます。
次に、斜め上から、直線の切り込みに向かってチェーンソーで切っていきます。受け口は、横から見れば三角形の形になっていれば完成です。
3.追い口を作る
受け口を作った後は、その反対側に「追い口」と呼ばれる切り込みを入れていきます。追い口を作る位置は、受け口で作った斜めの切り込み線の頂点から3分の1ぐらい下に向かって、直線の切り込みを入れていくとよいです。木のツルが残る位置である幹の半分あたりまで切り込みを入れたら、追い口が完成します。
4.椿の木を倒す
受け口と追い口を作り終えたら、椿の木を倒す作業に取り掛かります。まず追い口にクサビと呼ばれる道具を差し込み、ハンマーなどを使って勢いよくたたいていきます。すると少しずつ椿の木が傾いてきます。木が傾き始めたら、クサビで木が倒れる位置を微調整して、慎重に木を倒していきます。木が倒れるときは、すぐに安全な場所に移動して身を守るようにしましょう。
5.椿の木の根っこを除去する
椿の木の伐採が終わったら、地面に残った木の根っこを除去しましょう。まず、木の根っこの土をシャベルやスコップを使って掘り起こします。このときに、土を一時的に保管できるように近くにブルーシートを敷いて、そこに土を乗せておくとよいです。そして椿の木の根っこが見えてきたら、チェーンソーや電動のハツリ機などを使って木を切断していきます。
安全に根っこを切ることができれば、撤去してしまいましょう。最後に、ブルーシートに乗せた土を元の位置に埋め戻したら作業は完了です。
伐採に必要なものは?
椿の木を伐採するときには、さまざま道具が必要になってきます。きちんと道具を揃えてから伐採をおこなうことで、安全に作業をすることができるので、必ず準備するようにしましょう。
・作業着・防護服
チェーンソーやノコギリの刃から身を守るために、作業着や防護服は欠かせません。作業着や防護服は、普通の服とは違い、非常に丈夫で頑丈に作られており、チェーンソーの鋭い刃などから身を守れるようになっています。作業着や防護服を着用することによって、大きな事故を未然に防ぐことができるため、必ず用意しておくようにしましょう。
・防護メガネ・ヘルメット
伐採をおこなう際は、防護メガネやヘルメットを着用して、顔や頭を守ることが重要です。チェーンソーやノコギリで木を切っているときに生じるノコギリくずや、落下してくる枝葉などが頭や顔に当たるとケガをしてしまいます。安全に伐採をおこなうためにも、防護メガネやヘルメットを装備するようにしましょう。
・チェーンソー
チェーンソーは伐採をおこなう上で必要不可欠な道具です。一口にチェーンソーといっても、動作方式やサイズなど、さまざまな種類があります。そのため、伐採する椿の木に合わせて、使い勝手のよい種類のチェーンソーを用意するとよいでしょう。
・ノコギリ
ノコギリも木を切るために使用する道具のひとつです。ノコギリはおもに、樹高が低い木や幹の細い木を切るとき、またチェーンソーが機能しなくなったときなどに使用します。チェーンソーと比べると、木を切るのに時間はかかってしまいますが、正確に木を切ることができます。そのため、ひとつは持っておくと重宝するでしょう。
・クサビ
クサビは、堅い木材や金属で作られたV字型をしている道具のことです。クサビは、チェーンソーで切り込んだ切り口に差し込み、ハンマーや金づちなどで勢いよくたたくことで、木が倒れる方向をコントロールすることができます。
・ロープ
ロープもクサビに次いで、木が倒れる方向を定めることができます。樹木の半分より上の位置にロープを括り付けることで、軽い力で簡単に引っ張ることができるのです。
チャドクガに要注意!
椿の葉の裏に寄生する虫として、チャドクガと呼ばれる毛虫がいます。チャドクガの大きさは2~3 cmほどで、頭は黄色、体は黒色で背中に黄色い縦の模様が見られるのが特徴です。チャドクガは1年に2回、卵を孵化させます。そして、チャドクガの幼虫が発生するのは春先である4~5月、夏場である8~9月ごろにかけてといわれています。
チャドクガは、卵から幼虫になる過程で、体中に0.1mmの繊細な毒針毛を持ち続けています。毒針の数は50万本ともいわれており、成長過程のどの段階であってもむやみに触ったり近づいたりするのは止めておきましょう。また毒針毛は風でも飛散するため、直接チャドクガに触らなくても、近づくだけで皮膚に毒針が刺さってしまうおそれがあります。
皮膚に触れると、数時間後には赤く腫れ痒くなります。そのため、チャドクガを見かけたときは、伐採する前に駆除することが大事です。自分で駆除をするときは、長袖長ズボンなど肌を露出しない服装でおこないましょう。以下にいくつか駆除方法を挙げているので、ぜひ参考にしてみてください。
・毒針毛固着剤スプレーを使用する
毒針毛固着剤スプレーを使うと、毛虫ごと毒針毛を固めることができます。スプレーの中には、粘性のある液体が入っており、スプレーをした直後に徐々に固まっていきます。毛虫を固めて駆除することができるため、危険性が低く、安全におこなうことができます。
・殺虫剤や熱湯を使用する
スプレーを使用するほかに、殺虫剤や熱湯を使用する方法があります。殺虫剤を使用するときは、毛虫が直接手に触れないように注意して、トングなどを使用してゴミ袋に入れるとよいです。
一方、50度以上の熱めのお湯をバケツなどに用意して、その中に毛虫を入れると駆除することができます。熱湯に入れると、チャドクガの毒針毛が飛ばなくなるので、比較的安全に駆除することができるでしょう。
・お酢や木酢液を使用する
虫が嫌うにおいであるお酢や木酢液を使用する方法もあります。しかし、殺虫力は期待できないので、あくまで毛虫が発生する前の予防策として、椿の木全体に吹きかけておくとよいでしょう。
剪定で木を小さくするのもおすすめ
ここまで、椿の木を伐採する方法についてみてきました。伐採にはチェーンソーなどを使用するので、あまり慣れていない方は不安に感じるでしょう。そこで、伐採ではなく枝などを切る剪定をおこなうことでも、ある程度木を小さくすることができます。ここからは、椿の木を剪定する方法について詳しくみていきます。
1.剪定の時期は伐採とは違う?
剪定をおこなう時期は伐採とは異なります。伐採をおこなう時期は、前述したように、秋から翌年の春先が望ましいです。また伐採は木を切って処分することを考えると、実際にはいつおこなってもかまいません。
しかし剪定は、木を残すことや楽しむことを考えると、適した時期におこなうことが重要になってきます。適した時期に剪定をおこなわないと、花がきれいに咲かなくなるなどの問題が起こるおそれもあるのです。椿の木の剪定をする時期は、花が咲き終わった直後である4~5月におこなうとよいでしょう。
2.剪定方法
椿の木を剪定するときは、チャドクガから身を守るために、長袖長ズボンや軍手など、できるだけ肌を露出しないような服装でおこなうとよいです。剪定バサミやゴミを入れる袋などを用意したら、実際に剪定を進めていきましょう。椿の木を剪定する手順は以下のとおりです。
1.下準備をおこなう
長袖長ズボンの着用や軍手をはめるなどして、可能な限り肌を露出させないようにします。また、地面に新聞紙やビニールシートなどを敷いておくと、剪定した枝や葉をまとめて除去しやすくなるので、とても便利です。
2.枝を切る
準備が整ったら剪定を始めていきます。椿の木を切るときは、真上に伸びた徒長枝と呼ばれる枝や枯れた枝、内側に伸びた枝、交差している枝などを中心に剪定していきましょう。チャドクガの卵を発見したら、枝を途中から切り落として、ビニール部やゴミ袋に入れるとよいです。
3.樹形を整える
椿の木の樹形を整える際は、切り戻し剪定をおこないましょう。切り戻し剪定とは、一定の大きさに樹形を維持するために、伸びた枝の途中で切って形を整える剪定のことをいいます。切り戻し剪定をおこなうことによって、余分な枝が生えにくくなるのです。
4.短い枝を間引いていく
椿の木の内側が枝で密集している場合は、短くなっている枝を中心に切っていきます。
5.葉を間引いていく
椿の葉が多く密集しているときは、樹木全体の風通しがよくなるように、葉を切り落としていきます。しかし、むやみに切り過ぎてしまうと、スカスカな状態になってしまい、弱った印象になってしまうので、くれぐれも切り過ぎには注意しましょう。
3.剪定後は消毒を忘れずに!
椿の木の剪定が終わった後は、枝の切り口に殺菌剤を塗っておきましょう。殺菌剤を塗ることによって木が枯れてしまったり病気になったりするのを防ぐことができます。また消毒をすることによって、チャドクガなどの毛虫が住みつくのを予防することができるため、忘れないようにきちんとおこないましょう。
椿の木を切った後の処分方法
これまで、椿の木を切る方法や剪定の方法についてみてきました。ここからは、椿の木を切った後の木の処分方法についてご紹介していきます。伐採や剪定をおこなった後は、適切に木を処分するようにしましょう。
可燃ゴミ・資源ゴミとして出す
伐採した木の幹や枝は、可燃・資源ゴミとして出すことができます。ゴミに出すときは、できるだけ細かく切ってゴミ袋に入れるようにしましょう。しかし、市や自治体によっては、粗大ゴミとして出さなければならないこともあるので、事前に自治体のホームページなどで確認しておくようにしましょう。
自分で搬入する
伐採した椿の木が多い場合や、可燃・資源ゴミの対象外でゴミ回収車に持っていってもらえないときは、自分でクリーンセンターに持っていくとよいでしょう。クリーンセンターとは、市や自治体が管理・運営しているゴミ処理施設のことをいいます。
自治体のクリーンセンターによっては、ゴミの重量によっては手数料が必要になってくることがあります。またゴミの種類によって、受付時間が異なることもあるので、事前にきちんと自治体の窓口やホームページなどで調べておくようにしましょう。
切るのも処分も面倒…そんなときはプロに任せてみる?
椿の木を伐採・剪定した後は、切った後の処分もおこなわなければなりません。そのため、もし大変だと感じた場合は、業者に依頼してみるのもおすすめです。ここでは、伐採・剪定を業者に依頼したときの費用や、依頼する際の注意点などをご紹介していきます。
費用はいくらかかる?
伐採を業者に依頼したときにかかる費用は、木の高さや太さ、木の生えている場所などによって金額が変わってくるのです。椿の木を伐採するのにかかる費用は、1本約2,000円からが目安となっております。また剪定料金の目安は、1本約1,000円からとなっています。
しかし、業者によっては1本から伐採・剪定が可能なところや、何本でも伐採・剪定OKなところがあるため、事前に業者のホームページなどで料金やサービス内容を確認しておくようにしましょう。
こんな場合は費用が高くなるかも
業者によっては、追加料金が発生してしまうことも考えられます。たとえば、重機での作業が必要になる場合や、伐採した木の回収を依頼する場合などは、基本料金に加えて料金がかかることがあるでしょう。「ほかの業者に頼んだら安く済んだのに…」と後悔しないためにも、作業料金はきちんと確認しておくことが大事です。
事前に見積りを取ってみよう!
伐採の料金相場を確認したら、さっそく業者に依頼してみましょう。そのときは、複数の業者から見積りを取ることで、よりリーズナブルな業者を選ぶことができるはずです。
弊社では、全国のさまざまな業者と連携して、ご要望に合った業者をご紹介しています。複数の業者をご紹介しますので、よりよい業者が見つかるはずです。24時間365日いつでも電話対応をおこなっておりますので、まずはお気軽にお電話をお待ちしております。
まとめ
椿の木は「伐り旬」と呼ばれる、秋から翌年の春の時期に伐採をおこなうのがよいといわれています。伐採をするときは、チャドクガという毒針を持った毛虫に注意しなければなりません。また伐採ではなく、剪定をすることによっても、木を小さくすることができるのでおすすめです。
椿の木を切った後は、可燃・資源ゴミとして出すことができますが、市や自治体によっては粗大ゴミとして処分しなければならないことがあるので、事前に確認しておきましょう。また、自分で処理しきれない場合は、自治体が管理するクリーンセンターに持っていくことで適切に処分することができます。
このように椿の木を伐採するのには、伐採する時期や木の後始末など、いろいろと大変なことが多いです。もし自分で伐採ができないと思ったときは、ぜひ業者に依頼してみるとよいでしょう。業者に依頼するときは、複数の業者から見積りを取って、料金を比較してみましょう。そうすると、優良で格安な業者に巡り合えるはずです。
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