木を切ったあとに塗る薬=癒合剤|効果的に使って大切な庭木を守ろう

木を健康的に樹形よく育てたいなら、剪定作業は欠かせません。その剪定作業を終えたあと、そのまま切りっぱなしにしていませんか?剪定作業の後は、木を雑菌などから保護するために、癒合剤でケアをする必要があります。癒合剤とは、木を切ったあとに塗る薬のことです。
剪定後のケアを怠ってしまうと、木が病気にかかりやすくなります。病気にかかってしまうと最悪の場合、枯れてしまうこともあります。このコラムでは癒合剤の役割や、どんな枝に塗るのかなど、癒合剤の基本的な情報についてご紹介していきます。
木を切ったあとに塗る薬、癒合剤の役割
癒合剤とは剪定などで木を切ったあとに、切り口を保護する塗り薬です。切り口が表皮でおおわれるまで、癒合剤で保護し、雑菌の侵入を防ぐ役割をもっています。
植物は、雑菌に対抗する免疫細胞をもっていません。そのため、木が病気にかからないように、雑菌が入るのを防ぐ必要があるのです。
また、水分や養分が出ていくのを防ぐためにも癒合剤を塗ります。木は切られてしまうと切り口から、水分や養分が外に出ていってしまうのです。水分や養分が出ていってしまうと、木が弱ってしまいます。このような、さまざまな原因から与えられる木へのダメージを抑えるために、癒合剤があるのです。
しかし、剪定した枝に1本ずつ塗っていくのは大変ですよね。実は、癒合剤はすべての枝に塗る必要はありません。では、癒合剤を使うべきタイミングはいつでしょうか。
癒合剤を塗るのは「剪定する枝が太いとき」「雑菌に弱い木を剪定したとき」「木全体の大きさに対して切り口が大きいとき」です。剪定する枝が太いと、切り口がふさがるのに時間がかかります。3cmほどの切り口だと、ふさがるのに3年かかる場合もあります。
切り口がふさがるのが遅いと、木の生長に悪影響をおよぼすおそれがあります。そうなると病気にかかりやすかったり、うまく育たなかったりしますので、癒合剤を利用しましょう。とくにサクラやリンゴの木などは雑菌に弱く、病気にかかりやすいです。そのため、雑菌から保護するために剪定をしたあとは必ず癒合剤を塗りましょう。
また、切り口が小さくても木が小さいものであれば、相対的にダメージが大きくなります。盆栽がその例です。盆栽自体の枝は太くありませんが、盆栽にとって太い枝を切られたら負担が大きくなるのです。そのため、切り口が小さくても木が小さい場合は、念のため癒合剤を塗ることをオススメします。
木を切ったあとに塗る薬である癒合剤は、雑菌の侵入や木の養分・水分が放出されるのを防ぐために必要です。癒合剤にはいくつか種類があります。そのため、癒合剤を塗るといっても、どの種類のものを選べばいいのか迷われるかもしれません。次に癒合剤の選び方、そして塗り方も一緒に詳しく解説していきます。
癒合剤の選び方と塗り方

癒合剤にはいくつか種類があり、それぞれに特徴があります。選び方のポイントをみていきましょう。選び方のポイントは以下のとおりです。
・癒合後の表皮形成
癒合剤は切り口の表皮が形成されるまで、雑菌の侵入や水分・養分の放出を防ぐ役割があります。癒合剤の種類によって、表皮形成のされ方が異なるのです。「癒合剤を内部に取り込み表皮形成していくもの」と、「表皮形成されると癒合剤が剥がれ落ちるもの」にわけられます。
癒合剤を内部に取り込んで表皮形成するものは、癒合剤を塗った部分だけ膨れ上がるように表皮形成していきます。植物は異物を排除することができず、そのまま取り込む性質があるからです。癒合剤を取り込んだ部分が、コブのような球状になることもあります。
表皮形成されると癒合剤が剥がれ落ちるものは、癒合剤と切り口の間に表皮形成をします。癒合剤がかさぶたのように剥がれ落ちるため、癒合部分が膨れ上がることがありません。木の見た目を気にされる方は、癒合剤が剥がれ落ちるタイプのものを選ぶとよいでしょう。
・癒合剤の色
癒合剤にはさまざまな色の種類があります。木の色に合わせた色を選ぶと、木の景観を損なうことなく、雑菌から守ることが可能です。茶色や深緑、オレンジ、グレイなどさまざまな色があります。
・癒合剤の効果
癒合剤の種類によっては、カルス形成を促すものがあります。カルスとは「活発に分裂をおこなう細胞」のことです。切り口にカルスを発生させて切り口のふさぎを早めます。
また、抗菌・殺菌効果のある癒合剤もあります。とくに雑菌の耐性に弱い木であれば、抗菌・殺菌効果のあるものを選ぶとよいでしょう。
次に、癒合剤の塗り方についてご紹介していきます。癒合剤を塗るときの手順は以下のとおりです。
- 癒合剤とハケを用意する
- 剪定をしたあと、木の切り口に直接癒合剤をつける
- ハケでていねいに癒合剤を広げる
切り口が大きい場合は、切り口からはみ出るぐらい大きめに癒合剤を塗りましょう。また、切り口が小さく塗りにくい場合は、ハケに癒合剤を出して塗ると塗りやすいです。
癒合剤は表皮形成されるまで、病気にならないように防ぐ役割をもちます。しかし、癒合剤だけでは剪定で傷ついたダメージを少なくすることは難しいです。ダメージが大きいと、癒合剤を塗っていても枯死してしまうこともあります。そのため、木へのダメージを減らしたいなら、剪定のやり方が大切になってくるのです。
木へのダメージをできるだけ少なく剪定したいなら

木の負担を減らすには、剪定でのダメージを少なくする必要があります。木を切ったあとに塗る薬は剪定したダメージを抑えるものであって、ダメージそのものの解決にはなりません。
木へのダメージを少なく剪定したいなら、剪定すべき枝や剪定する時期などを理解したうえで、剪定をおこなう必要があります。剪定すべき枝や剪定する時期を間違えてしまうと、木が弱りやすくなります。木が弱ると、病害虫にかかりやすくなるのです。
正しい剪定をおこなうことが、木へのダメージを減らすことにつながります。また、木の負担を抑えるためには、癒合剤を塗ることが必要です。しかし、「癒合剤を買ったり塗ったりするのが面倒だな」という方もいるのではないでしょうか。また、「そもそも剪定が面倒……」と思っている方もいるでしょう。
そういった方は、業者に木の剪定を依頼してみてはいかがでしょうか。自分で剪定をすると、出来栄えが悪かったり、手間がかかったりします。ですが、業者に依頼することで、煩わしい作業をすることなくキレイに仕上げてもらうことが可能です。また、剪定の知識や経験が豊富なため、木に合った剪定方法で剪定してくれます。
剪定のことでお悩みでしたら弊社へご相談ください。弊社にご連絡いただきますと、庭木の剪定後のアフターケアもしっかりとおこなってくれる業者をご紹介いたします。「剪定作業後になんだか木の元気がない」という場合も、お気軽にご相談ください。状況に合わせて適切な対応をする業者を派遣させていただきます。
まとめ
剪定などで、木を切ったあとに塗る薬は「癒合剤」です。癒合剤とは表皮が形成されるまで病気にならないように、切り口から雑菌の侵入や水分・養分の放出を防ぐものです。
癒合剤は剪定した枝すべてに塗る必要はありせん。癒合剤を塗るときは「剪定する枝が太いとき」「雑菌に弱い木を剪定したとき」「木全体の大きさに対して切り口が大きいとき」です。
また、癒合剤は「癒合剤の表皮形成」「癒合剤の色」「癒合剤の効果」の観点からさまざまな種類があります。ご自分の木にあったものを選ぶとよいでしょう。
木のお手入れは手間がかかります。そのため、剪定が面倒という方は剪定業者に依頼することをオススメします。業者に依頼をすれば、炎天下の中で作業をする必要がなく適切な剪定でキレイに仕上げることができますよ。
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