竹を切る時期は秋冬が正解!ただしい伐採時期と、腐敗を防ぐ油抜き法
竹はとくに珍しくない身近な植物です。しかし、身近だからこそ竹について調べてみたことがある人や、観察したことがあるという人は少ないのではないでしょうか。
竹は成長スピードが非常に早く、放っておくとさまざまなトラブルを引き起こしかねません。今回は竹を切る時期や自分で伐採をする方法・コツを中心にご紹介していきます。庭や竹林の竹がいつの間にか繁殖しすぎて困っている、いつ切ろうか悩んでいるという人は必見です。
爆発的な繁殖力をもつ竹
竹は1本ずつ独立して生えているのではなく、地下茎(ちかけい)と呼ばれる地中にある茎でつながっているって知っていましたか?また、竹は成長スピードが非常に速く、強い繁殖力を持っています。
とくに孟宗竹(もうそうちく)という種類は繁殖力が強く、春先に生えてきたタケノコ(竹の芽)が勢いよく竹に成長します。4か月たらずで地下茎が約8cmも伸び、いったん成長は止まります。成長が止まった後は栄養分を地下茎にためこみ、次の春のタケノコの成長に使われることになります。
このような繁殖力の強い竹を放置していると、周辺に地下茎が広がって田畑の農作物を枯らしてしまったり、ご近所の庭からタケノコが生えてきてしまったりすることがあります。
また、竹のせいで地盤が弱くなって土砂崩れが起きやすくなったり、竹が増殖したせいでほかの植物日が十分に当たらなくなって、成長が悪くなったりといったことも考えられます。
竹を放置して繁殖させたりなにかトラブルが起きてしまったりする前に、適切な時期に伐採するようにしましょう。
竹を切る時期に秋~冬が適している理由
竹を放置することによって起きるトラブルについてわかったところで、次は竹を切る時期についてご紹介します。じつは、竹は伐採に適した時期があるのです。
ずばり、竹を切る時期に適しているのは秋から冬の間です。秋から冬にかけては竹が休む時期であり、竹が水分を吸い込まなくなるため水分量が少なくなります。また、竹の中の樹液も少なくなります。そのため、伐採後に竹が腐りにくい、虫が入りにくいというメリットがあるのです。
伐採した竹を竹材として加工して使用するならば、秋や冬に切るのがおすすめです。ただし、このような時期に竹を切ったとしても絶対に腐らないというわけではありません。竹を乾燥させるための「油抜き」という方法については、後ほど説明します。
竹が腐る!?春~夏の竹伐採リスク
竹を切るのにおすすめの時期は秋から冬の間ですが、春から夏にかけて切ってはいけないということではありません。急にスペースが必要になって、急いで竹を伐採して空き地にしなければいけないということもあるでしょう。
ただし、秋・冬と反対に春・夏は竹が水分や養分をたっぷり含んでいる時期です。そのため伐採後の竹は腐りやすく、虫もわきやすくなっています。
竹材として使用する予定があるならば、あたたかい時期の伐採は避けたほうがよいでしょう。ですが、切った竹をすぐに処分するのなら時期を選ぶ必要はないということです。
竹にまつわる言い伝え、新月伐採と犯土
竹の伐採時期に関係する言い伝えとして、「新月伐採」「犯土(つち、ぼんど)」というものがありますが、ご存知でしょうか。
新月とは、月が地球と太陽の間を通るため真っ暗に見える、つまり月がまったく見えない状態のことをいいます。そのようなときに木や竹を伐採すると、丈夫で腐りにくい高品質な木材・竹材になると考えられています。ただし、これはあくまで言い伝えで科学的根拠はありません。
続いて、犯土という言い伝えについてです。犯土の期間は、土公神(どくしん)という土の神様が土の中にいるとされ、土に穴を掘ったり土木工事をしたり伐採するなどの行為はするべきではないと考えられています。こちらも科学的な根拠はありません。
このような言い伝え・噂をあまり気にせずに伐採をするのもよいでしょうし、伝承を尊重するというのもよいでしょう。
竹伐採の手順とコツ
続いては、自分で竹を切る手順とコツについてご紹介します。まずは竹の伐採に適した服装と道具を準備しましょう。
・竹伐採におすすめの服装と道具
服装は全身を守るため上下とも長袖の着用をおすすめします。靴は、スニーカーなどよりもできれば足袋の方が動きやすくて便利でしょう。また、竹は滑りやすいので、滑り止めの加工がされた丈夫な手袋をはめます。
竹の伐採に必要な道具として、鉈(なた)、鋸(のこ)、鎌(かま)、チェーンソーというのは想像しやすいかと思いますが、そのほかにも虫よけのためのスプレー・竹酢液(竹を焼いたときに出る成分を冷やして作る)、道具を取り出しやすいように腰にまくホルダーなどがあるとよいでしょう。
・竹を切るときのコツ
準備が整ったら、事故やけがに気を付けて竹を切っていきましょう。おおまかな手順は以下の通りです。
- 事前にどの竹を切るか選び、足場をつくる
- 竹を倒す方向の根元付近に受け口(切れ込みのようなもの)をつくる
- 切る位置より上の方で竹を支えながら、用意した道具で竹を切って倒す
- 伐採した竹は枯らして小さくカットするか機械で粉砕し、燃えるごみで処分
- 竹の根を残しておくとすぐに伸びてしまうので、専用の重機を使って取り除くか、除草剤などで枯らす
このときは以下のポイントやコツを意識するとよいでしょう。
・作業は斜面の上側から開始し、竹はすべて同じ方向に倒す
斜面の上から竹を切り、処分するときに持ち出す方向に向けて倒すと楽です。
・足場の確保
伐採中は両手がふさがるため、竹の切り株を足場に利用して踏ん張ると切りやすいでしょう。
・鋸やチェーンソーは水平に、鎌や鉈は斜めに切る
鋸・チェーンソーを使うときは切り口が地面と水平になるように、鎌・鉈の場合は上から下に向かって振り下ろし切り口が斜めになるように切ります。また、竹が何本か密集して生えている場所は、まわりの竹を傷つけないため鋸で切りましょう。
・とがった切り株に注意
怪我のないように気をつけましょう。
・鉈で切り株に数か所傷をつけておく
切り株を腐りやすくするためです。
竹伐採後の「油抜き」の方法
竹の表面は油分でコーティングされ、水分が抜けにくくなっています。そのため、伐採した竹材をそのままにしておくと、腐ったり虫がわいたりしてしまいます。
竹を伐採し竹材として利用するならば、伐採後は時期にかかわらずかならず油抜きをおこなってください。油抜きの方法には、直接火であぶるものやお湯に苛性ソーダを少し入れて煮るといったものがあります。苛性ソーダは劇物指定され、取り扱いに注意が必要です。
伐採した竹は1~3か月程度陰干しして油抜きをおこなった後、さらに天日干しをします。せっかく乾燥しかけている竹を雨にぬらしてしまわないように、天気にはいつも以上に気をつけてくださいね。
まとめ
竹を伐採する時期や伐採方法についてご紹介しましたが、いかがでしたか?竹は繁殖力の強い植物です。放置して切るのが大変になったりトラブルが起きてしまったりする前にきちんと切りましょう。
伐採した竹を竹材として活用したい場合は、秋から冬の時期に切ります。伐採後はきちんと油抜きをして、腐ったり虫が入ったりするのを防ぎましょう。
しかし、数本くらいならまだしも、広い範囲の竹を伐採するのは重労働でしょうし時間もかかります。そのようなときは無理せずプロの手を借りることも考えてみてください。手間のかかる準備や作業を任せることができ、わからないことは直接相談できるのが魅力です。
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